第20回学術大会において、公開講演会「ポルトガル、長崎、エチオピア〜イエズス会がつないだ信仰の世界」を開催いたします。
日時 2011年4月23日(土) 公開講演会
会場 長崎大学坂本キャンパス 良順会館(23日)
主催 日本ナイル・エチオピア学会 共催 長崎大学大学院国際健康開発研究科
第20回日本ナイル・エチオピア学会において、公開講演会「ポルトガル、長崎、エチオピア:イエズス会がつないだ信仰の世界」を開催いたします。
16世紀後半以来、長崎は日本におけるカトリック信仰の象徴的トポスとしてありつづけました。もちろん、よく知られているように、カトリック信仰はけっして長崎の中心にいたわけではありません。二十六聖人の処刑(1597年)、元和の大殉教(1622年)といった大事件を経たのちに、ポルトガル人は追放され、カトリック信徒たちは「隠れキリシタン」として200年以上も潜伏を余儀なくされたのです。
日本にキリスト教が伝えられた同じ頃、遙か遠くアフリカにもイエズス会は宣教団を送り出していました。それは当時すでにキリスト教の国となっていたエチオピアです。南ヨーロッパと東南アジアを拠点としたイエズス会は、エチオピアと日本という、まったく離れた世界でカトリックを布教していたのです。
そうして伝えられた信仰は、広く受け入れられ、時には棄教され、あるいはひっそりと生き続けました。教えを広めるとは、新しい考えを社会が受け入れるとは、そして、その信仰を守り続けるとはどのようなことなのか。3人の発表に耳を傾け理解を深めたいと思います。
登壇者
増田 研(長崎大学)
「ポルトガル、長崎、エチオピア:イエズス会がつないだ信仰の世界」趣旨説明
石川博樹(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所)
「もうひとつのキリシタン時代:知られざるイエズス会エチオピア布教」
吉田早悠里(日本学術振興会/大阪府立大学)
「もうひとつの隠れキリシタン物語:エチオピア南西部カファ王国におけるカプチン修道会の活動」
ムンシ ロジェ ヴァンジラ(南山大学)
「日本におけるイエズス会の宣教と五島のキリシタン」
講演者紹介
石川博樹
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所、助教。東京大学大学院人文社会系研究科修了。博士(文学)。専門はエチオピア史。2001年〜2003年、ポルトガルのリスボン新大学にてエチオピアに関するポルトガル語史料の調査に従事。著書に『ソロモン朝エチオピア王国の興亡』(山川出版社、2009年)。
吉田早悠里
日本学術振興会特別研究員。名古屋大学大学院文学研究科博士課程修了。専門は文化人類学。エチオピア・カファ州にてフィールドワークを継続中。論文に「マンジョの生業変容とキリスト教への改宗」(『南山大学人類学博物館紀要』25号、2007年)、「被差別マイノリティによる自己表象をめぐる自発的実践」(『アフリカ研究』75号、2009年)など。
ムンシ ロジェ ヴァンジラ
ザイール(現在のコンゴ民主共和国))出身。首都キンシャサのサン・アウグスティン大学、ローマのウルバニアナ司教大学、東アフリカ・カトリック大学などで哲学と神学を学び、のちに日本の神奈川大学に学ぶ。
長崎県各地における文化人類学的なフィールドワークを行い、博士論文「かくれキリシタンの宗教活動とその社会的機能」によって2008年に神奈川大学より博士号を取得。
現在、愛知県名古屋市の南山大学において教鞭を執る。